2011/06/28
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2008/11/26津村Y様邸仕立ての様子
こんばんわ。中野建築の中野です。梅雨もたけなわ、少し晴れるとものすごく暑くなる日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。
さて上の写真は、今では珍しくなった土壁塗りの下地の竹をくんだところです。
この竹組の下地の上に、すさ入りの赤土壁を塗っていくのです。でもこの壁がなかなか乾きにくいのです。しかも表を塗ってそれが乾いてから「裏返し」といってもう一度裏から塗り込んで竹組をサンドイッチみたいにはさむのです。
この土壁塗りは、費用もかかりますが、時間が非常にかかります。
木造は、木の伐採から始まり、刻み(構造材加工)~建て方~屋根葺きと工程が進んでいくのですが、昔の家つくりでは、その工事をどの季節するのが良いかという事を非常に重視して工程が組まれていたように思います。
木の伐採は、木が幹に水分を上げてこない秋冬がよいといわれており、屋根工事や、土壁は、冬近くの乾燥した時季に施工できるように、それから逆算して、建て方が決まっていたようなところがあります。
自然に無理やり抗わない昔の人の考え方は、こんなところにも、垣間見られます。
この土壁は梅雨時期に、高性能な調湿性能を発揮し、室内環境を大きく改善してくれます。昔の人の知恵ですね。今エコ住宅がもてはやされ、当社のエコ住宅が一番!などと声高々に宣伝していますが、果たしてそれは本当に的を得たエコ住宅なのでしょうか?深い庇で日照をコントロールしたり、風通しを重視した部屋や窓の配置など、昔の人はそんなことは当たり前で、今の住宅は機械に頼ったり、エネルギーを消費しないと快適に過ごせない構造になってしまっています。脱原発の流れの中で、エネルギー消費の少ない昔の住宅の優れた形に、原点回帰のときかもしれません。